HDDとは、「ハードディスクドライブ」の略称です。約50年前に遡ると、IBM社が磁気記憶システムを開発したことが、HDDの発祥と言われています。
現在、生みの親とも言われるIBM社は、IDEの時代の時にHDD事業を日立に売却し、この事業から撤退しています。
この装置は補助記憶装置と呼ばれ、データを長期間、保存するためのパーツです。現在、普及しているノイマン式コンピュータには必要不可欠なパーツです。
この装置の位置づけとして、デスクワークを例にすると「HDD(補助記憶装置)」は机の引き出しに当たります。必要な時に出して、不要な時はしまうというふうなイメージで間違いはありません。
なので、HDDは「机の引き出し」というのをイメージしたところで、もう一つイメージしてもらいたいのですが「何回も引き出しの中を出し入れすると、引き出しの中はぐちゃぐちゃになりませんか?」
普通の人ならぐちゃぐちゃになりますよね。そのような状態をHDDに置き換えると「断片化」と言います。また、引き出しの整理整頓を「デフラグ」と言い変えることができます。
今回は、そのイメージについて詳しく解説していきます。
HDDの性能について
HDDは、パソコン内部で最も酷使されるパーツであり、故障の頻度が他のパーツより多いです。なので、まず本項では「HDD」の仕組みと性能を徹底解説していきます。
HDDの内部構造
内部は、CD-Rの様な形で表面と裏面が鏡みたいになっている磁気ディスクと磁気読み取りヘッド、アーム、磁気ディスクを回すスピンモーターで構成されてあります。
色枠ごとに分けてみました。更に分解をしてみました。
<< 青色 >>
プラッタ:ここにデータを保存します。表面が鏡のようになっています。
<< 黄色 >>
磁気ヘッド:先っぽの細い鉄板で、データを読み書きします。
パラレルインタフェースのHDD(IDE)を分解したので溝が2つありますが、シリアルインターフェースの場合はこの溝が1つになり、大きく効率的な構造になっています。
<< 黄緑色 >>
アーム:磁気ヘッドを任意のトラックに誘導するパーツになります。
<< 赤色 >>
スピンモーター:磁気ディスクを高速回転させるためのモーターになります。磁気ディスクと固定されているので、画像では見えませんが磁気ディスクの下にあります。この薄さで、毎秒7000回転以上します。
ハードディスクの読み込みと書き込み
ハードディスクは、磁気ディスク(プラッタ)の上を磁気ヘッドが行き来することによって読み書きができます。
シーク(トラック探索作業)→サーチ(セクター探索作業)→ライティング / リーディング
詳しく説明すると磁気ヘッドを搭載した、アームが回転しているプラッタの上で特定のトラック(画像左の着色部分)を見つけてその場所に磁気ヘッドを持っていきます。そのあとに任意のタイミングでセクター(画像右の赤色部分)に上手くデータを読み取り書き込みを行っています。
そのデータの読み書きをする過程の中で、データを取り出したが上手くデータを元あった場所(セクター)にしまうことができないという機械でありがちな現象が起きます。
それを「断片化(フラグメンテーション)」と言います。
これは、HDDの生理現象とも言える現象で、これが増えるとパソコンが不具合が起きたり、データの読み込みと書き込みが遅くなるというユーザーのストレスの元につながります。
それらを防ぐには「デフラグ」というHDDの中のデータを整理するツールを使って、元あったデータの場所にデータを戻し、整理整頓(連続したデータ)をすることです。
回転数
ハードディスクは、磁気ディスクを物理的に回転する機構があるので、回転数(rpm)という規格があります。
回転数の規格は、1秒間に何回転するかで分けられます。市場に出ている、回転数の規格は「7200回転」と「5400回転」です。
7200回転の方が性能が良いですが20mmと厚く、外付けハードディスクやデスクトップパソコンに使われます。もう一方の5400回転の方は10mmと薄く、ノートパソコンなど場所が限られるハードに使われます。また、5400回転の方がデータの送受信が遅いという欠点があります。
なので、用途が定まらないのであれば7200回転の方を選んだ方がいいと思われます。
記憶領域
HDDの性能で最初に目に行く数値は、やはり「記憶領域」ではないでしょうか。まず、理論上の記憶領域の数値を解説します。
1000B(バイト)= 1KB
1000KB(キロバイト)= 1MB
1000MB(メガバイト)= 1GB
1000GB(ギガバイト)= 1TB
現在は、1TB~8TBが市場に出ています。
キャッシュ容量
これが、多いければ多いほど動作がスムーズになります。
CPUとメインメモリとは違い、HDDはものすごく速度が遅いのです。速いパーツと遅いパーツでは、そのまま処理したデータを流して書き込みができません。読み込みもHDDが読み込んでいる間、CPUやメモリーは待機状態になりその間は作業に入らないという順次処理の欠点が浮き彫りとなりました。
このように、キャッシュ領域がないとパソコンの速度が著しく低下します。
なので、一時的に処理した内容をキャッシュに保存して順次にHDDに書き込みや書き込みをするという仕組みができました。
市場に出ているハードディスクのキャッシュ領域は容量毎に増えており、10TBなら256MBと言う大容量となります。
HDDの接続規格
上は、ノートパソコンで使われた「2.5インチのIDEハードディスク」です。下は、デスクトップパソコンで使われた「3.5インチのIDEハードディスク」です。
※ IDE(Integrated Drive Electronics)ハードディスク : かつて主流だったパラレルインターフェース接続を利用したハードディスクのこと。(平行接続)
「3.5インチハードディスク」
SATAと呼ばれる現在で普及している接続方法を利用したハードディスクです。
※ SATA接続 : シリアルインターフェースを利用した接続方法。(連続接続)
HDDの種類
仕様の変化で、様々な補助記憶装置が開発されました。以下の項目に3つ挙げてみました。
HDD(物理ディスク)
内部が「CD-R」みたいな数枚の磁気円盤で構成されている補助記憶装置です。高速回転をしている磁気円盤を磁気ヘッドでデータを読み取ります。
衝撃に弱い反面、耐久時間が安定しており、長期使用において信用がおける補助記憶装置の種類です。
SSD(ソリッドステートディスク)
フラッシュメモリーの構造とほぼ同じ仕組みなので、HDDよりも高速でデータのやり取りをします。ですが、半導体ディスクなので消耗が激しく、HDDに比べて低寿命です。
ハイブリッドHDD(SSHD)
SSHD : ソリッド・ステート・ハイブリット・ドライブ の略です。
SSDとHDDが合体した補助記憶装置です。記憶装置の仕組みは、HDDの磁気ディスク(プラッタ)が回るのが主体ですが、HDDと大きく違うところが、GB(ギガバイト)を超える大容量のキャッシュ領域です。
大容量にすることによって、SSDに近いデータの送受信が可能となります。それと、HDDの安定的な時間耐久が合わさりました。
3つ挙げた中で、このSSHDが他の種類のいいとこどりをしているので、一番いい種類だと思われます。
HDDで使われる「RAID」とは?
RAIDの割り振り | RIADの機能 |
---|---|
RAID 0 | ストライピング |
RAID 1 | ミラーリング |
RAID 0 + RAID 1 | ストライピング+ミラーリング |
RAID 5 | 3台以上のHDDを使って、パリティ符号付きのストライピング |
・ストライピング
一つのデータを2つのHDDに分散させて書き込む機能のこと。この機能によって、書き込みと読み込みの速度が上がります。
・ミラーリング
一つのデータを2つのHDDに同じように書き込む機能のこと。ひとつが、故障してももう一方がバックアップされているので、リスク回避に使われます。通称、クローンと呼ばれる。
・ストライピング+ミラーリング(4つのハードディスクが必要)
豪快にも2つのHDDでミラーリング、もう2つのHDDでストライピングを使った設定割り振り。
・パリティ符号付のストライピング(3台以上が必要)
ストライピングは、複数のHDDを使ってデータを書き込むのですが、1つ故障したら全HDDのデータがダメになってしまうのが欠点でした。
しかし、パリティ符号を利用したストライピングにすると1つ故障したら2つのどちらかが故障した1つのHDDのデータを持っているので、すぐに復旧が可能になります。でも、3台中約1台はバックアップの領域になるため実際に保存できる容量は2台分となります。
まとめ
ハードディスクは、やはり物理的な耐久性が無い代わりに時間的な耐久性を誇ります。なので、長期的なデータ保存に向いているのがHDDです。
また、SSDもありますが起動速度や物理的(衝撃)な耐久性ではHDDに勝りますが時間的な耐久度ではHDDのほうが勝ります。
このように、状況や用途によって補助記憶装置の種類を選んだほうが無難だと思います。例えば、SSDはOS起動用で、HDDはデータ保存用と言うような感じです。
というわけで、HDDひとつでパソコンの性能に多少ながらも影響するので慎重選びたいところです。